三原啓之の実家は、北陸の地方都市のいわゆる名家だった。
祖父の代は、校長だったが、父も母も国立大出身の歯科医師で、教育熱心だった。
母も働いているので、手をかけられて育ったわけでもないのに、地方名士の跡取り長男の啓之に対する親族の期待は、嫌が上にも高かった。
昔気質の父は、厳しく、勉強も運動も人より出来て当たり前・・・できないと、何時間も机の前にすわらされた。
3つ違いの妹とは話すが、両親の期待する進学高に進むことができなかったときには、家庭内では、両親とは、3年間口を聞かず、孤立していた。
大学進学も、授業料の高い、私立の歯学系私立大学を進められたが、絶対に嫌だった。
両親の後を、継ぎ、実家の歯科医院で、働くという選択はありえなかった。
それでも、東京のあまり大したことのない大学に進学する費用は、両親が出してくれた。
でも、4年間1度も実家には、帰らなかった。
妹とは、話すが、ほとんど、両親とは話もせず、4年間は、ひきこもって、PCや、好きな音楽を聞いてすごした。
身長も高かったが、運動は苦手だった。
そんなわけで、大好きで、よく通った電気量販店にアルバイトから、そのまま就職した。
正社員でも、そんなに給料は高いとは、言えなかったが、自分で、1ルームを借り完全に自立した。
妹とは、連絡を取り合っていたが、実家には、正月も帰らなかった。
事実上の絶縁状態だった。
誰からも愛されず、人と付き合うのも苦手で、趣味のPCや、まんがや、ゲームに没頭していたので、当然、女性とおつきあいも1度もしたことがない。
興味はあっても、自分が相手にされるとは、思えなかった。
結婚を、したくないわけでは、ないが、量販店にも女性はいるが、嫌われていることに自信があった。
初対面のひとに好印象を持たれない自信があった。
仕事では、隠しているが、同僚と話すと、つい、ひねくれた返事をしてしまう。
嫌われている自分の、いじめられないための自己防衛だった。
そんなとき、3歳年下の妹が、20代で、地元の大手結婚情報サービスに入会したことを聞いた。
妹は、太ってはいるが、お見合は組めているらしい。
啓之にも、進めてきた。兄弟で入ると、紹介割引があるらしい。
「見合なら、なんとかなるかもしれない。」
「自分に自信もないし、こちらを選んでくれる人なら、だれでもいい」
そんな気持ちで、31歳で大手結婚情報サービスに入会した。
「身長も高いし、何とかなるでしょう」と担当者は言った。
始まってみると、申し込みたいような感じの女性がいなかった。
自分がゆうのもなんだが、普通の子がいない感じ・・・
担当者に文句をいうと、紹介された女性の写真を、みて、「確かに・・・
でも、コンピューターは、顔をよっているわけじゃないから、たまたまでしょう。
もう1月様子を見てください。」と言ってきた。
3月めには、まあまあ好みのタイプの子がいた。
同じような、仏教系の地味な大学をでて、家事手伝い(要するに無職)の瞳だった。
聞いてみると、アルバイトもしていないのは、就職先で、人間関係で、つまずき、そこから、家でぶらぶらしているままに、30歳になった瞳だった。
こんなかわいい子が、承諾してくれるはずがないと思ったが、意外と受けてくれた。
話てみると、同じにおい(人間関係でつまずいている)においがした。
好きというような感じではないが、こんな男でもいいと言ってくれるならと、誘ってみた。
また、意外なことに出てきてくれる。
「お似合いかもしれない。」「こんな自分で本当にいいのだろうか?」
不安になりながらも、交際はすすみ、結婚することになった。
なんとなく、上手くいくはずはないと思いながらも、あとには、引けなくなり、結婚退会することになった。
開催日時
2021年3月26日(金)27日(土)28日(日)
開催場所
お申し込み方法
下記予約フォームから
開催日時
2021年2月26日(金)27日(土)28日(日)
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